●闘う民主主義
近藤孝弘著『ドイツの政治教育-成熟した民主社会への課題-』(岩波書店・2005年)を読み終わる。ドイツ(旧西ドイツ)はワイマール共和国の民主主義の下でナチスの台頭を許した反省から、戦後に人種主義やナチズムなど憲法体制に反する結社を禁ずるなど「闘う民主主義」という考え方がとられてきた。
こうした制度と車の両輪になるのが政治教育だが、東西両独建国直後の1950年代は冷戦の影響で、過去と向き合い批判精神を養うようなプログラムはできていなかった。60年代後半の学生運動・ベトナム反戦運動・社民党による政権交代などを経て、ようやく今に至る政治教育の骨格が完成したことを紹介している。
また政治教育とは歴史教育との視点が極めて重要なことが理解できる。政治意識・歴史認識の隔たりは東西間だけでなく西の中でも今なお大きく、80年代からは追悼施設教育などを充実している。
選挙権年齢引き下げでも未成年の18歳(今は成人)から選挙権を保障する、州によって16歳から地方選挙権を保障するなど、同様に敗戦国で経済大国にもかかわらず政治的関心・成熟が十分でない日本にとって示唆に富む国と感じていたが、連邦と州に置かれた政治教育センターによるカリキュラムや模擬選挙などの紹介を読んで改めて意を強くした。